Slliy dialogue




「相談したいことがある」

そうアキから電話がきたのは今日の昼頃のことだった
放課後に行く、と一方的に言いたいことだけ言って電話を切るのはいつものことなのだが
沈んだ声色に加えて、言いずらそうなもごもごと篭った音で喋るアキに少し驚いてしまった。
何があった・・・と問う前に電話は切れてしまったが・・・
まぁそれは聞かずとも、これから来るアキが勝手に喋るだろう





夕刻・・・そろそろか、と携帯で時間を確認していた視線の向こうから
遠くからでもよく目立つ赤いジャケットがこちらに近づいてくるのが見えた。

「いきなりあんな電話してきやがっt・・・・・・」

挨拶代わりの悪態は途中で尻すぼみに消えていった
上げた目線に飛び込んできたのはアキの左顎にある大きな痣
黒紫色に腫れ上がった頬は、一目見るだけでいかに強烈な攻撃を受けたかということを物語っていた
ボクシング部で、しかもシャドウとの戦闘を頻繁にこなしているアキに多少の怪我など日常茶飯事だが
正直、アキがここまで手ひどくやられた姿はほとんど記憶にない

「お前、ソレ・・・」

「順平にやられた」

ばつが悪そうに顔をしかめて言う声は相変わらず沈んでいた
喋りずらそうにしていたのはこれが理由か、恐らく口の中が切れているのだろうか、喋るたびに顔を顰めている
順平って・・・仲間のヒゲ帽子だよな・・・前に会ったときはそんなことをしそうになかったが・・・何だ、仲間割れか?
とりあえず話を聞いてやるために人気のない路地に移動することにした





「で、相談って何なんだよ。わざわざ呼びつけやがったんだからそれなりの内容なんだろうな?」

「・・・・・・・・・・・・」

返答がない、理由は分からないが俯いて萎縮しているようだ、これはかなりの大事か?と内心戸惑った

「・・・もう・・・シンジくらいしか相談できそうになくてな・・・」

やっと反応があったかと思えば・・・くらいしか、という部分に少々カチンときたがそこは流してやった

「とりあえずどういうことか簡潔話せ、その痣と関係あんのか?」

アキがこくりと頷く

「3日前、順平に『俺のこと好きか』と聞いたら殴られた。そこから一言も口をきいてくれないんだ、どうしたらいい?」

「・・・・・・待て、簡潔過ぎて逆に意味が分かんねぇ」

順平と付き合っている、という話はアキから聞いてはいたが・・・

「何だよ、痴話喧嘩ってことか?そんなん俺じゃなくて寮の奴らにでも・・・」

「相談したんだ!しかし、どいつもこいつも話を聞いた途端に『俺が悪い』の一点張りで・・・
 理由を聞いても『自分で考えろ』と、取り合ってくれないんだ・・・」

しかも、その後揃いも揃って俺を軽蔑したような目で見てくるし、寮にも居づらくてな・・・と言う声が少し涙声だ
これは軽蔑プラスかなりキツく罵倒されたな・・・でなきゃあのアキがこんなにビクつく理由が思いつかない
現状から察するに・・・恐らくは『アキが悪い』のだろう。しかし、本人は原因が分からないから俺にそれを教えろというのだ
ともかくだ、もう少し詳しく状況を知らなくては何とも言えない
俺はアキに事の詳細を説明させることにした


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荒垣視点
裏小説だけど、まだエロはありません、エピローグみたいなもんですw(11,01,30)